⑧ ANK療法と抗体医薬品(分子標的薬)の相乗作用
トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)は、これまでの化学療法剤とはまったく異なる仕組みでがんを抑える抗体医薬品です。がん細胞の表面にたくさんある標的に結合し、がんの増殖を抑える効果を発揮します。ただしがん細胞を殺傷することはできません。
一方、NK細胞は一部の抗体に結合する性質を持っています。NK細胞がトラスツズマブと結合すると、がん細胞を効率的に破壊します。この働きをADCC活性(抗体依存性細胞傷害活性)と呼びます。トラスツズマブとNK細胞の相乗作用により、細胞傷害活性が高まることが期待されます。
このようなADCC活性を持った抗体医薬品は、病態によって併用も検討できます。
各培養法による免疫細胞を、HER2強陽性細胞(乳がん細胞)に同一条件で加え、がん細胞が破壊された状況をグラフに示しました。一般法は抗体との相乗作用はみられないため、ADCC活性がありません。トラスツズマブはそれ自身、がん細胞への傷害活性を持ちませんが、ANK細胞にトラスツズマブを加えると、がん殺傷力がさらに強くなることがわかります。
当社京都研究所にて実施